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BRIDGESTONE BELT DRIVE HISTORY ENGINEER INTERVIEW #03

カーボンが、ベルトドライブをスポーツの領域へ。

開発部“カーボンベルトドライブ”開発担当:太田 将夫

−“カーボンベルトドライブ”は、どのように完成させたのですか?

 

スポーツサイクリングということで考えますと、スマートベルトが第一段階と言いますか、よりダイレクトな踏み心地という事でスマートベルトを作りましたんですけども、やはりベルト自体がまだ、伸びのあるベルトを使ってますんで、どうしても柔らかい踏み心地になってダイレクト感が無いという事で。それで技術が進歩しまして、カーボンの心線を使ったベルトというのが、作れるようになり、それを使用すると、よりダイレクトな、殆どチェーンと同じ様な感覚での、駆動システムが出来上がりました。それが「ordina S8cb」に搭載され、今回はさらに進化した“カーボン・ソリッド・ドライブ”として「HELMZ SSSD」に搭載されることになりました。

※HELMZ SSSD
−カーボンベルトの特長について教えてください。
カーボンベルトは心線にカーボンを使用したウレタンのベルトでして、今までは素材はウレタンで、心線がアラミド繊維といった物だったんですけれども、若干伸びがあったので、それでカーボンにする事によって、伸びが殆どなくなるというのが特長です。
−ベルトの一部にカーボンを入れたということなのですね?
実はこの、ウレタンとカーボンを接着するっていう技術がすごい難しいんです。カーボンを使ったベルトというのは、そのまま自転車で使おうとすると、乗り味としてモッサリした感じというか軽快感がない。だから、やっぱりウレタンとカーボン心線を組み合わせて、気持ちよく乗れるものを、ということで開発が始まりました。人が感じる楽しさって、すごいセンサーだらけなのですが、そこに応えようと、独自のカーボンベルトに挑戦したんです。
−カーボンベルトドライブのチェーンリングは真円ですが、なぜスマートベルトドライブのような楕円では無いのですか?

 

する必要がなかったからです(笑)。スマートベルトドライブで楕円ギアにしたのは、楽に走れるとかじゃなくて、ベルトが通る道を踏む時には長くしてあげた。長くすることによってベルトはこう張ってくれるっていう理屈でしたね。で、それを人が感じない気持ち良いところで収めるだけで、ベルトが適切になってくれるための楕円でした。でもカーボンベルトにしたことで、張る必要は無くなったもので。

※HELMZ用チェーンリング&クランク(試作品)
−ところで、このベルトって継ぎ目がないんですが、どうやってつくっているんですか?
でかい土管みたいな感じです。それを、ちょうど良い幅にスライスしています。ちょうど良いというのは、ものとしては太い方が強くはなりますが、カーボンが入ったから細くできて、細くできたから自由度が増す。チェーンステーとか、クランクのガードとか、クリアランスが結構小さいんで、細ければそこは助かります。
−そのほか、特にこだわったポイントは、どこですか?
固くして強くしようとすれば、もうちょっと固くする事もできたんで。そうすれば、チェーンに近づいたフィーリングになるんですけれども。まあアルベルト程ではないですけども。しなやかさというものをある程度持たせたくて、そこには少しこだわっています。それと、音ですかね。完全に無音というわけではありませんが、漕いでる時に音を感じないのも、ベルトドライブならではです。
−変速についてはどのようにお考えですか?

 

街を中心としたスポーツ走行、つまりとんでもない坂を登るのでなければ、今回のHELMZに搭載したようなシングルなども、とても快適に走れると思います。HELMZでは3種類のプーリーを別売で用意してあって、それを交換すると、ご自分の好みや脚力に応じたギヤ比で、爽快に気持ち良く走れると思います。

今、例えばロードレーサーなどでは11速まであって、カシャッ、カシャッて気持ちよく切り替わって加速していきますが、内装変速機ではまだ、そこまでの気持ちよさは足りないかもしれません。内装の8速とか11速もありますけど、それは街で乗る時に快適に、という設計なので。将来的にもっと加速感を楽しめる内装変速機とカーボンベルトドライブの組み合わせとかも、面白いかもしれません。メンテナンスフリーで、簡単に乗れて、走って気持ちよい自転車ですね。

※HELMZ用ギアプーリー[ハイ(ギアレシオ:2.92、フロント73T×リア25T)、ミドル(ギアレシオ:2.70、フロント73T×27T)、ロー(ギアレシオ:2.52、フロント73T×29T)]
−完成した今、どのような想いがありますか?
そうですね。あの、結構あの、非常に良いものが出来たとは思っているんです。それはあの、市場に出した時にどのように受け入れられて行くのかという事で、まあ是非とも広く受け入れられていただきたいと期待しています。
−将来的にはカーボンベルトドライブはどういう方向で、と考えていますか?
まあ、いろんな車種とかにどんどん広げて、自転車で気持ちよく走る世界を多くの方に味わっていただきたいと思っています。
−アルベルトだけでも累計100万台、毎年10万台以上が出荷されているベルトドライブですが、今後はカーボンベルトドライブで、スポーツの領域にもさらに大きく可能性を広げていくことを期待しています。

今日は有り難うございました。